在宅リモート生活

 あまり気持ちのよくないコロナ風が吹き止まずといった情勢なのに、私は今年4月からS大学(札幌市内)へ通い始めた。歴史文化専攻の科目履修生として。 今年の前半は、H教授(北海道平取(びらとり)町で萱野(かやの)茂(しげる)さんの助手をやっていた方)の 「アイヌ文化論」を週2回のペースで受講。 

 ところが、コロナの感染者がうなぎ上りに増えるにつれて、対面授業は削減され、5月の連休明けから遠隔授業になってしまい、またもや家を離れる口実がついえた。若い人たちに囲まれて過ごしたひと月の愉悦の時間は夢だったのか。
 ライブのオンライン授業を受けるため、アプリをPCにインストールするのに四苦八苦。ようやく授業が始まる当日当時間を緊張の面持ちで迎えたのだったが、一向に配信されない。どうしたことかと古いPCを問い詰めたが、埒が明かない。
 翌日早々、担当教授からお詫びのメールが届いた。操作ミスのため、一部の学生に配信できなかったという。私より若い世代の教授なのだが、やはり時代についていくのは大変なのか、とかえってほっとした気持ちになった。
 このため、授業はライブでなく、いわゆるオンデマンドになった。配信された映像を一定期間内に視聴して、教授から出される課題について解答文を送付するという方式。これで私も、コロナ禍で流行している在宅リモート生活という新たな時代様式に、つま先の端をちょっとかけたことになる。