この歳になると、持っている本をすべて読み通すことはとうにあきらめている。収集好きというのは、本に限らず持っているだけで十分幸せなのだ。十年に一度くらい、何かの折に古き作家たちの名前を思い出して、書棚の暗がりの埃っぽいページを開いて、彼の生きた時代の空気をちょっとかいでみる。すると、自分自身が作品とともにすごしたころの匂いが一気によみがえってくる。
 たまに古本屋を見て回り、片隅に積まれた名も知らない著者の古びた本に出会い、書き出しの数行の文字がすっと自分の中に溶け込んだときの不思議な感覚もまた何とも言えない。
 そのような本を出そうと思い、「ユメミテ書房」という個人出版社を立ち上げた。4年目に入ったが、出した本はたったの一冊。自分で言うのも何だが、和紙で巻いた表紙の手触りがうるわしい。本を手作りして思ったのだが、この手間のかかる作業が私はこの上なく好きだ。残念なのはぜんぜん時間がないこと。この調子だと、月に数冊作るだけで精いっぱいだ。 

ユメミテ書房 店主 

 

黒猫との の冒険

 《収録》

  黒猫との の冒険

  黒猫との と龍の棲む山

 

【お知らせです】
 「黒猫との の冒険」(上製本)が、札幌駅西口前の紀伊國屋書店・札幌本店の書棚に並びました。(新刊・自費出版コーナー)
 自分の本を書店で見るのはちょっと恥ずかしいやらうれしいやら不思議な気分ですね。機会があれば見てやってください。

<2019.6>

 5月末で紀伊國屋書店の陳列は終了しました。また、次の機会にお知らせします。

<2022.5.9>

 久しぶりにブログを更新しました。ユメミテ書房は元気でやっています。店主は昨 年1年間、大学で考古学を勉強してました。

 ≪ブログ更新のお知らせ≫

2022.8.13「故旧忘れ得べき

2022.5.9「平手打ち雑感」

2021.8.29 「在宅リモート生活」

2020.12.25「河出版日本文学全集」

2020.6.12「空き時間に本を読む」

2020.5.2「元祖 柿の種」

2020.5.2「残りわずかなかりんとう」

2020.3.18「カラスあての看板」

2019.11.20「本の始末を巡る話」

2019.10.24「近所の土偶」

2019.9.14「ロケットマン」

2019.6.27「もう一度初期仏教」

2019.6.25「1年半ぶりの京都」

2019.6.22「アニメ好き」

2019.4.6「言葉が出てこない」

2019.3.10「失禁だよ 父しゃん」

2019.1.30「クイーンをぜんぜん知らない」

2019.1.29「黒猫との が書店に登場」

2018.12.14「時期はクラス会」

2018.6.16「先祖の顔」

2018.6.3「製本業に手を染める」

2018.1.17「記念日ぎらい」

2017.12.26「黒い毛糸玉」

2017.11.9「本は読むもの」

2017.10.11「縄文人の系譜」

2017.9.20「前髪が伸びないのは」

2017.8.12「自分の時間」

2017.7.28「光と影の50年」

2017.6.28「ヒト介護」

2017.6.14「わたし はな」

2017.6.10「後発性騒動」

2017.6.1「中動態のネコたち」

2017.5.16「怪獣が来た」

2017.4.27「ディキシーを聴きながら」

2017.4.18「JNはな TM父しゃん」

2017.3.28「猫介護」

2017.3.23「猫のおはなはん」

2017.3.15「猫の皺」

2017.3.10「量子コンピューター」

2017.3.6「大雛はな」

2017.2.28「よく読む雑誌」

2017.2.22「猫の日ニャン」

2017.2.15「お助けチョコ」

2017.2.9「伝統的仕事人」

2017.2.2「書評もどき」  

2017.1.5  「はな  年賀」