怪獣が来た

 数日前、夢の中にいたときの話。
 どこやらの宿に泊まっていると、怪獣がやって来た。勇敢にも、小さな「怪獣はな」が応戦している。私は、”はな”の陰に隠れ、右往左往するだけ。オーナーから戦力外通告を突きつけられたプロスポーツ選手のように、自失し意気消沈している。わびしい限りだ。
 こんな夢を見るのは、凶暴ネコ”はな”のことを、普段から怪獣呼ばわりしているからなのか。それとも、つい最近、恐竜むかわ竜の全身骨格発見のニュースが飛びかったからなのか。はたまた小路幸也氏の「怪獣の夏 はるかな星へ」(ちくま書房刊)という小説を読んだからか。
 ところで、空恐ろしいものの名前に獣とか竜とかの字をつけるのは偏見によるもので、獣や竜たちに対し大変失礼だ。突然、暴力ネコに変身し、父しゃんの手を食いちぎろうとする、”はな”だって、普段は優しいし、到底、悪意があるとは思えないので、怪獣なんて呼ぶのは間違いだ。竜も龍も、のべつ使うのは許しがたい。龍はその昔、熊の表徴で聖なる最高神なのだ。怪獣や恐竜、ペットや自身の子などにネーミングするときは これらの事情を十分考慮されたい。