量子コンピュータ

 ひょんな事から、量子コンピュータというものがあるのを知った。これが実用化されたら、今、私たちが使っているインテルなどの演算システムは、超古典的な代物になってしまうらしい。
 現行のコンピュータはご存じのとおり、0と1のスイッチを切りかえて動作していると言われるが、原子より小さい量子を利用した場合、いくつもの数字を使えるだけでなく、同じ数字を同時並行して運用できる。だからどうなのかというのは説明できないが、計算上では、両者の能力は一億倍もの差がつくという。
 また、現行コンピュータは、桁の大きい整数の因数分解ができないわけではないが、ずいぶん苦手にしている。そこで、古典的コンピュータ君に膨大な桁数の因数分解をさせてみた。一説によると、彼から答えを聞けるまで、宇宙ができてから現在までの時間よりも長くかかるらしい?
 ところが、量子コンピュータ氏は、この因数分解の計算を、一応、実用的な時間内(きっと古典君の一億分の一の時間なのだろう)で解くことができるという。
 なぜ因数分解にこだわるかというと、現在のコンピュータ等に使われているセキュリティ(暗号)は、因数分解の計算に天文学的な時間がかかるのを利用して構築されている。なので、因数分解を早く解かれると、現在のコンピュータシステムはいっきょに崩壊してしまうのだ。 
 2011年5月11日、カナダに本拠を置くD-Wave Systemsは「世界初の商用量子コンピュータ」を発表した。現時点の演算能力は、インテルなどと大差ないらしいが、理論上はそう遠くない将来、地上を制圧することはほぼ間違いない。
 ふと、カナダのトルドー首相が、隣国の大統領に高飛車な態度を取れるのはこんな事情があるからだろうか、といったようなことを思った。(2017.3.6)